長嶋 宙さん

周囲と違う自分の視点が、
研究活動での強みに。

総合政策学部 国際政策学科 3年生

長嶋 宙 さん

開発支援や国際協力に関心を持ち、総合政策学部へ。でもだんだん「自分には向いていないのでは?」と考えるようになりました。同じ教室で学ぶ学生の多くは、途上国の困難な状況を自らのことのように考え、熱く支援について考察している。対して僕は、援助する側とされる側を第三者的に「どんな支援が効果的か」とは考えるけれど、感情移入できない。「自分はみんなと違うのか?」。迷いを晴らしてくれたのは、西立野研究室との出会いでした。さまざまな政策の効果について、応用ミクロ計量経済学のデータ分析手法で検証する、というのがこの研究室での取り組み。物事を常に客観的な視点で捉えて考える、僕らしさを存分に発揮できる場だったのです。

西立野研究室

西立野研究室では、分析のみにとどまらず、具体的な政策提言にまで結びつけているのがポイント。数字から導き出された課題に対し、その解決法までデータに基づいて考察し、論文として発表しています。

初めて本格的に取り組んだ研究。
その楽しさは、受賞の喜びにも勝る。

この研究室で、3年次は一年間を通してグループ研究に取り組み、これを論文にまとめました。テーマは「住宅用太陽光発電の普及を目指して〜地方自治体による補助金制度の有効性〜」。自治体の太陽光発電パネル設置補助金が、実際に太陽光発電の普及にどれほどの効果をもたらしているかを検証し、新たな政策提言にもつなげるといった内容です。この論文はISFJ日本政策学生会議政策フォーラムで政策提言賞を受賞するなど、学内外で高い評価を受けました。でも僕にとってそれ以上に印象的だったのは、生まれて初めて本格的な研究活動に取り組めたことと、その研究活動が想像以上に楽しかったこと。政策の効果という「現実は存在しているが、目には見えないモノ」が、自分たちが分析を進めていくことで、どんどん数字として「目に見えるモノ」になっていくのが、本当に面白い。「将来は研究者に」という想いが、日々強くなっています。

自分について理解することで、
自分らしさを発揮できる場所へ。

応用ミクロ計量経済学によるデータ分析を学べば、例えば「Go To キャンペーン」などコロナ禍における政策の効果についても、印象で是非を議論するのでなく、数字で根拠を問うことができます。僕が今後取り組んでみたいテーマは、地方分散政策の前提としての東京の出生率低下という根拠の検証。経済学では子どもをひとつの財と考えてモデルに組み込みますが、一人産めば労働市場が潤うなど、子どもという財は他の生産財や消費財などと異なる性質を持っています。そこに興味が沸き、出生行動に関心を抱くようになりました。そんな僕と同じような物事の見方や関心の広げ方をする人は、少数派かもしれません。開発援助を志す人なら、時には感情移入しながら取り組むようなアグレッシブさも必要だと思います。そんな人たちと一緒に学ぶなかで「自分はちょっと違う」と、かつての僕は感じました。でも、活動自体の質や正確さが求められる役割を担う上では、僕が持つその「違い」が重要なのだと、今は実感できています。

PROFILE

長嶋 宙さん

007/100

総合政策学部 
国際政策学科 
3年生

長嶋 宙
(ながしま そら)

静岡県立藤枝東高校出身。趣味は読書とサッカー観戦。高校生の頃の好きな科目は英語で、そこから国際協力や開発支援へと関心が広がり、関西学院大学 総合政策学部 国際政策学科に進学。西立野修平准教授の研究室の仲間と書いた論文が、関西学院大学総合政策学部リサーチ・フェア2020 奨励賞、2020年度WEST論文研究発表会 分科会賞(環境・エネルギー)、2020年度ISFJ日本政策学生会議政策フォーラム 優秀政策提言賞を受賞。研究職を志し、卒業後は大学院への進学を希望。

一覧へもどる