安全・安心を支える
構造設計を究める。
建築学部 建築学科※
荒木 美香 准教授
建物には、建物自体の重量に加え、住む人や家具などの荷重がかかります。また、短期的には強風、地震、積雪などの外力もかかります。これらさまざまな荷重がかかる中、安全で安心できる環境をつくるのが、構造設計です。私は構造設計の専門家として、各国の建築構造基準、建築材料の構造性能等について研究を行っています。また、新しい建築材料の開発やデジタル技術を用いた建築部材の開発等にも取り組んでいます。そしてこれらの研究データを実際の構造設計にも活かしていきます。「研究」と「実務」の両面からアプローチし、より良い建築を作ることを研究活動の目標にしています。
日本の基準にとらわれず、
現地にあった方法を。
一般に、鉄筋コンクリート造のようなずっしりとした構造が地震に強いと考えられがちですが、建物が重いほど地震の力は大きくなり、構造が硬いほど粘り強さがないため、崩れたときの被害は大きくなります。軽くて丈夫な構造とはどういうものか、それを実現するにはどのような材料を使えばよいか、などをテーマに構造設計を考えています。
私は2016年のエクアドル地震の際、活動の場を求めていた地域の若者たちが集う施設をつくりました。日本の耐震基準をそのまま他国に持ち込むと、コストがかかりすぎたり、必要な材料が入手できない、または技術になじみがない、などから保守管理ができなかったりします。現地に適した構法を考えることも、構造設計では欠かせないことと言えるでしょう。
実験の成果を生かし社会課題を解決。
そんな人材を育てたい。
私は日ごろ、「日本の設計で得た知見を、何らかの形で諸外国の建築の役に立てたい」と考えながら、設計に新しい技術を取り入れようと試みています。一方で、そうした知見を活かすことを視野に、海外の建築基準や地震時の被害などの調査に取り組んでいます。
これから建築を学ぶ皆さんにも、社会の課題を発見し、それを解決するにはどうしたらよいのか仮説を立て、実験で検証し、その成果を社会にフィードバックする力を身につけてもらいたいですね。