森崎研究室メンバー

有機化学の技術で
光合成がパワーアップ?!

生命環境学部 環境応用化学科※

森崎研究室

森崎泰弘教授の研究室では、有機合成化学をベースに、ユニークな次世代材料の開発に向けたさまざまな研究を推進。その代表例が、「円偏光発光」を実現する材料です。光には右巻きと左巻きの二つがあり、通常はこれらが同時に等しい強度で進みますが、森崎研究室では、片方に偏った光を取り出す(=円偏光発光)ことができる機能性材料を研究。さらに3Dディスプレイなど一般的に考えられる用途にとどまらず、植物の光合成に着目しました。その結果、植物が好む右巻きの青色光を高輝度で発する『植物の成長を促進するプラスチック』の開発に成功。高分子学会でパブリシティ賞を受賞し、林業での苗木促成など、当初は想像もしていなかった分野から、多くの問合せや期待の声を寄せられています。

講義風景

有機化学というカテゴリーに縛られない柔軟性が、森崎研究室の特色。専門外の分野にも目を向けることを学生たちに促したり、いろいろな視点から新しい研究テーマを募るコンテストを研究室内で開いたり。そんな森崎教授自身も、有機化学と高分子化学の両方が専門という、化学の世界では非常に珍しい存在です。

生命環境学部 環境応用化学科

機能性高分子合成化学研究室

MESSAGE │ PROFILE

三木 仲七海さん

004/100

三木 仲七海 さん

大学院 理工学研究科 
環境・応用化学専攻 
修士課程2年生 ※取材時点
徳島県立城南高校出身

先輩・後輩の区別なく、各自の
専門的視点から意見を交換。

円偏光発光において、私は特に「構造パターンによって光の強さや偏光特性がどのように変わるか」に着目し、研究を進めています。最近の成果として、さまざまな試行錯誤を経て、これまで森崎研究室で合成された分子の中で、最高レベルに片巻に偏った円偏光発光を出すことに成功。より偏った光を出すにはどうすればいいか、まだ解明できていない点が多いので、糸口をつかめたことに手応えを感じています。高水準のセキュリティインクや3Dディスプレイなどに、この研究成果がつながってほしいですね。森崎研究室の魅力は、年次などに関係なく自由にディスカッションできるところ。それぞれ多彩な専門知識を持つ学生が集まっているから、私にはない知識を持つ後輩も多く、みんなで意見を交換し、そこから新しいプランもどんどん生まれるんです。

井貫 優里菜さん

005/100

井貫 優里菜 さん

大学院 理工学研究科 
環境・応用化学専攻 
修士課程2年生 ※取材時点
兵庫県・賢明女子学院高校出身

学生の自主性に任せる風土が、
自分を成長させてくれる。

これまで私たちが円偏光発光に用いてきた高分子にはエタノールなどアルコール系の有機溶媒に溶けにくいといったデメリットがあったのですが、私はこれを解消する高分子の合成に成功。水にも溶けやすくすることができたため、環境にやさしく、円偏光発光においては特に植物の成長促進の分野で有効性を発揮できると考えています。有機化学をベースとしながら、高分子化学も取り扱っているのは本学ではこの森崎研究室だけ。最初は先生から研究テーマを与えられましたが、一つ目の化合物をつくって成果を出した後は、自分がやりたいと思うことを自由にやらせてもらっています。スケジュールなども学生自身に任され、そんななかで自ら考えて行動する力も身につきました。自分で成果を出し、先生に相談しながら成長できる環境が、ここにあります。

森崎 葵さん

006/100

森崎 葵 さん

大学院 理工学研究科 
環境・応用化学専攻 
修士課程1年生 ※取材時点
兵庫県・須磨学園高校出身

誰も見たことのないような、
面白い構造の分子をつくりたい。

他大学での実験結果なども含め、この分野での先進的な研究成果に幅広く目を向けながら、ユニークな分子構造をもつ化合物の合成に挑戦することで、より優れた円偏光発光の実現をめざしています。有機化学の研究室でありながら、分析系もしっかりしていたり、無機系が専門の人がいたり、光化学も扱ったりと、森崎研究室はフィールドが幅広いのが強み。2019年から、井上助教が新たに入られ、その広がりはさらに大きくなりました。一人ひとりの違った視点から生まれる、いろいろなアイデアを交換できます。この環境を生かして、よりよい円偏光発光を実現させるだけでなく、卒業までにまだみんなが見たことのない面白い構造の分子を生み出すことが、私の目標です。

※2021年4月誕生

一覧へもどる