柳原 智子さん

“船人間コンテスト”で
造船のまちを活気づける!

総合政策学部 総合政策学科 3年生
※取材当時

柳原 智子 さん

私は兵庫県青少年本部の『ふるさとづくり青年隊』に参加し、兵庫県相生市の地域活性化に向けたさまざまな活動に取り組んでいます。2022年秋には手作りの船でレースを行う『船人間コンテスト』を、相生港で開催。「かつて“造船のまち”として栄えた相生市の歴史を地域創生に生かそう」と、私が発案・企画し、周囲の人たちを巻き込みながら、半年以上前から準備を進めてきたイベントです。ご協力いただいた相生市役所や地元団体との交渉、海上保安庁への許可申請、参加者・観覧者募集などの広報活動など、たいへんなことばかりでしたが、10チームが参加して地元のメディアでも取り上げられるなど予想以上の反響があり、大きな手応えをつかむことができました。

『船人間コンテスト』には市外からも多くの参加者や観客が集まり、“造船のまち”相生市を広くアピールできました。『ふるさとづくり青年隊』に参加してから、地元の人たちとの交流やSNSでの広報、街歩きイベントの実施など、さまざまな活動を地道に重ねてきた柳原さんにとって、一つの集大成とも言えるイベントになったようです。

地元の人を置き去りにして
地域活性化は成り立たない。
現地に足を運び、交流を重ねる
なかで強く実感した。

大学入学当初は国際協力に強い関心を持ち、海外でのフィールドワークに積極的に参加していました。でもコロナ禍で海外活動が難しくなり、そんな時に『ふるさとづくり青年隊』の募集を知ったのです。祖母の地元が過疎地域の認定を受け、幼い頃から身近に感じていた地域の人口減少問題。授業で地域創生の政策についても学び、「私にもできることがあるのでは?」と感じていたので、「やってみよう!」と私は『ふるさとづくり青年隊』への参加を決めました。
実際に相生市での活動に携わって感じたのは、「地元の人を置き去りにして地域活性化は成り立たない」ということ。現地に足を運び、地元の人たちと会って話をして、初めて見えてくることがたくさんあるんです。“造船のまち”として、かつてこの相生には他の地域から働きに来る人が大勢いたこと。そのなかで他地域から来た人をよそ者扱いせずに温かく迎える風土が育まれ、今もその文化が色濃く残っています。市外から来た私たち青年隊とすぐに打ち解け、造船の歴史などを優しく話してくれた地元の人たちとの交流を通して、そのことを心の底から実感しました。『船人間コンテスト』のアイデアも、地元の人たちを巻き込んでの成功も、まずこうした交流があってのことなんです。

「前例がないから挑戦しない」
では、成長できない。
「前例がないからこそ挑戦する」
ことで、道が開ける。

「国際問題と向き合うための幅広い知識が学べる」と考えて総合政策学部に入学したのですが、現在は地域経済学を学ぶゼミに所属。国際協力から地域の問題へと関心がシフトしても、それに対応できる学びの幅広さがあるのですから、やはりこの学部を選んで正解でした。また1年生の時の海外フィールドワークでは、今の活動に繋がる「現地に足を運んで知見を得ることの大切さ」が学べ、行動力も養えたと感じます。
それでもイベントの運営管理など初めての体験でしたから、『船人間コンテスト』の準備には本当に苦労しましたし、発案者としての責任感から、プレッシャーで押しつぶされそうにもなりました。だからこそ、たくさんの方々の協力を得て、この前例のないイベントを成功できたのが本当にうれしかった。「来年もやってね」「楽しみにしてるよ」といった言葉もたくさんいただいて…。地域に新しい風を吹き込むきっかけになり、自分自身の成長にも繋がったと思います。「前例がないから挑戦しない」ではなく、「前例がないからこそ挑戦する」ことが大切なんだと実感しました。大学を卒業してもずっと、この気持ちで挑戦を続けます。

PROFILE

柳原 智子さん

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総合政策学部 総合政策学科 3年生
※取材当時

柳原 智子
(やなぎはら ともこ)

兵庫県・芦屋学園高校出身。高校生の頃から環境問題や貧困問題など世界規模の課題に関心を持ち、「将来は国際協力に携わる仕事に就きたい」と考えて関西学院大学総合政策学部に進学。受験前は国際学部とどちらを選択するか迷ったが、「自分が憧れる国際機関での職務経験を持つ教員が多く在籍している」「一つの学問領域にとどまらず、社会課題の解決に貢献するための幅広い知識が学べる」といった理由で総合政策学部を志望した。入学後は1年目から学びの場を世界へと広げ、マレーシアでの海外フィールドワーク、東ティモールでの国連外交フィールドワークに参加。コロナ禍で海外渡航が困難になった1年秋学期以降は、過疎化など国内における地域社会の問題に目を向け、公益財団法人兵庫県青少年本部の『ふるさとづくり青年隊』に参加し、兵庫県相生市のまちづくり活動に従事。一方、学内では平松燈教授のゼミに所属し、「神戸市の再開発による人口の流れや経済活動の動きについて、プログラミングソフト(artisoc)を用いてシミュレーションしながら分析する」といった研究活動に取り組んでいる。動物とのふれあいが大好きで、幼い頃からウサギやニワトリなどを飼って「いつも身近に動物がいる」といった環境で育ち、今も家には1匹の犬と4匹の猫が。また喫茶店でのアルバイトを通して、最近ではコーヒーへの興味も高まっている。

海外フィールドワーク
船人間コンテストのスタッフの皆さんと
総合政策学部 総合政策学科 3年生 “船人間コンテスト”で造船のまちを活気づける!
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