樋野 雄大さん

光合成・人工光合成の
研究を通して世界に貢献!

大学院 理工学研究科 環境・応用化学専攻 修士課程1年生
※取材当時

樋野 雄大 さん

光エネルギーをより有効に活用する次世代技術として期待されている「人工光合成」。しかし現状の人工光合成システムは高コストでエネルギー変換効率も悪く、実用レベルに達していません。僕が取り組んでいるのは、この問題を解決するための研究です。簡易的な光合成の過程を持つ「紅色光合成細菌」を研究対象に、植物が実際に行っている「光を吸収して利用可能なエネルギーに変換する」という光合成の初期過程の解明に挑戦。その成果を、従来のシステムより低コストでエネルギー変換効率に優れた、新しい人工光合成システムの構築へと繋げていきます。カーボンニュートラルという世界的な目標に向け、自分がその一翼を担えることに強いやりがいと責任を感じています。

植物をモデルにした人工光合成の研究は、他ではあまり見られない、本当に最先端と言える分野。「従来のシステムよりエネルギー変換効率がかなり良くなることもわかっています。手順通りに実験を進めてもわずかな条件の違いでまったく異なる結果になるなど、生き物を扱う研究はデリケートで難しいですが、やりがいや魅力は大きいですね」

「生物」「化学」「環境」
という自分の関心事が、
今の研究テーマと出会って、
全部つながった。

幼い頃から生き物が大好きで、将来は生物に関わる勉強がしたいと考えていました。高校生の時には化学の勉強が楽しく、環境問題への意識が高まってきた時代でもあったため、名称に「環境」という言葉が入っているのを魅力に感じて理工学部の環境・応用化学科(現:生命環境学部)に進学。生物を専門に学ぶ道も考えましたが、「化学のほうが視野を広げられそう」と思ったのです。しかし大学入学後もずっと「生物」への未練は残りました。
そして4年生の時、今の研究室に入ることで、僕の想いは満たされることになるのです。化学の分野において、細菌という生物を研究対象にし、環境に役立つ研究活動ができる。僕の関心事が、全部詰まっています。しかもエネルギー関連という物理学の要素も強く、多様な分野が交わり、とても広い視野を持って取り組める研究内容です。それでもやはり僕にとっては、「生き物に関われる」のが何よりうれしい。細菌を培養するところからのスタートですので「育てる楽しさ」も実感でき、細菌たちをとても可愛く感じます。こうした生き物が持つ力を、これまでにない人工光合成技術の開発に役立てたいですね。

チャペルオルガニストとしての
活動にも
力を注ぎ、
充実した学生生活を
過ごしてきた。

関学には、教会でパイプオルガンを演奏する「チャペルオルガニスト」の学生団体があります。入学した頃、僕は「せっかくだから関学でしかできないことに挑戦しよう」と考え、この団体に入りました。小さい頃からピアノは習っていましたが、パイプオルガンの演奏に慣れるまでは少し苦労しましたね。足で演奏する鍵盤があったり、タッチや音の響きもピアノと大きく異なっていたり。でもそうしたピアノとの違いや難しさもとても興味深く感じ、この楽器にどんどん夢中になっていきました。
大学院に進学した今も活動を続け、アメリカンフットボール部の壮行会で賛美歌を演奏するなど、さまざまなイベントや礼拝での演奏の機会にも恵まれ、とても充実した学生生活を過ごしてこられたと実感しています。研究や就活で行き詰まった時もパイプオルガンを弾けば気分転換でき、活動を通して視野もさらに広がりました。卒業後は大学での学びが生かせるエネルギー関連の企業などでの仕事を志望していますが、可能であればチャペルオルガニストとしての活動も続け、誰よりも視野を広く持った研究者をめざしたいですね。

PROFILE

樋野 雄大さん

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大学院 理工学研究科 環境・応用化学専攻 修士課程1年生
※取材当時

樋野 雄大
(ひの ゆうた)

西宮市立西宮高校出身。生き物が大好きで、小学生の頃はしょっちゅう双眼鏡を持って家の近くの山に出掛け、バードウォッチングに夢中になっていた。高校では化学に興味を持ち、「環境問題の解決に役立つ学びに取り組みたい」といった想いもあって関西学院大学 理工学部 環境・応用化学科に入学。4年次より橋本秀樹教授の研究室で現在の研究テーマに取り組み始め、さらに研究を進めていくため大学院に進学。一方で大学1年次から大学の学生チャペルオルガニスト団体に所属し、チャペルアワーやイベントなどでパイプオルガンを演奏。大学院に進んだ現在も、この活動を続けている。

理工学研究科修士課程1年生 光合成・人工光合成の研究を通して世界に貢献!
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