
宇宙の研究も、起業への挑戦も。
“誰かのために”の想いで。
理学部 物理・宇宙学科3年生
※取材当時
高田 真緒 さん
宇宙は謎がいっぱい。先生が授業で「これは私もまだわからないんだ」と話してくれるなど、世界中が現在進行形で解明に取り組んでいる謎に、先生も学生も一緒になって向き合えるのが、物理・宇宙学科での学びの魅力です。宇宙研究は「人類のため」といった壮大な成果に繋がりますし、本当にワクワクします。しかし、いつ成果が出るかわからない研究分野への出資は集まりにくく、多くの研究者が資金問題に悩んでいるのも事実。そこで私は「研究費を得る方法を探るため、経営を学んでみよう」とアントレプレナー育成プログラム『Kwansei Gakuin STARTUP ACADEMY』を受講。その活動のなかで、食物廃棄の削減や障がいを持つ子どもの教育支援など「社会のため」「誰かのため」に繋がる事業の起業に挑戦。

高校時代、数学や物理の成績があまり良くなかった高田さん。理系の道に進むことを家族に強く反対されましたが「自分がどれほど宇宙や物理を学びたいか」をプレゼンして説得。その後は数学や物理の成績も伸び、希望通りの進学を実現しました。「今は両親も、好きなことに没頭している私の姿が誇らしいと言ってくれます」。
実践を通して経営を学ぶなか、
お金を稼ぐ難しさを痛感。
失敗も糧に「子どもたちのため」
のアイデアを事業化。
アントレプレナー育成プログラム『Kwansei Gakuin STARTUP ACADEMY』では、自分で事業プランを立て、その実践を通して経営を学びます。私が最初に取り組んだのは、店で売れ残って廃棄されるパンを集めて再販するビジネスでした。でも考えていた以上に難しく「一円を稼ぐのもこんなに大変なんだ」と痛感。そうした失敗も含めて重ねてきた経験を生かして、最終クールでは私が一番やりたいと考えていた、VRやARを教育に活用する事業に挑戦しました。
私の両親はともに教師をしています。家ではいつも「どうすれば生徒のためになるか」といった話をしていて、そのなかで「発達障がいのある子どもが、ARでゲーム性を持たせた学びによって学力が向上した」というエピソードを聞きました。そこから私は「学習に困難を感じている子どもたちの支援にデジタル技術が有効」と気づき、また一方で「宇宙や物理のように目に見えない現象が多い分野の学びもVRやARで可視化できそう」とも考え、さまざまな教育の場で役立つデジタルコンテンツをつくるビジネスを立案。『+delivery』という団体を立ち上げ、システムやプログラミングを専門に学んでいる仲間と協力しながら、今も子どもたちのためのより良い教育ツールを追究しています。
「誰かのために」の想いが
あふれる環境で育った私。
だから「Mastery for Service」
に強い共感を覚える。
地域の子どもたちに宇宙教育のワークショップを開くプロジェクトにも、1年生の時から取り組んでいます。この活動で教育への関心が高まったことも『+delivery』の立案に繋がりました。でも大学でこれほどいろいろな経験ができるとは、想像していませんでしたね。専門分野の勉強に打ち込むだけでなく、違う世界を気軽に見に行けて、自然と視野が広がる大学。それが関学なのかなと感じます。
「Mastery for Service」というスクールモットーにも強く共感します。いつも「生徒のために」と考える両親、そして町会議員をしていた祖父も生前はずっと「他人のために」と話していました。だから私も、例えば『+delivery』の事業がうまくいかない時でも「もし今やめたらあの子どもたちはどうなるんだろう?」と考えると「やるしかない!」という気力が湧いてきます。「誰かのために」が自分の生きる意味にも思えますし、勉強も、いろいろな挑戦も、最終的にそこに帰着するんです。
将来どうなりたいのか、自分でもまだわかりません。ただその時に「したいこと」と「望まれていること」が今の自分のベストなのかな、と思っています。